人生観

どこまでこの道を掃く

ミヒャエル・エンデの名作『モモ』には、ベッポという道路掃除夫の老人が登場する。ベッポは主人公モモの友人で、毎日道路を掃いて過ごしている。彼の掃除の仕方の特徴として、作業中にゴールを考えない、というものがある。あとどれくらい掃くかということ…

世界は世紀末の夢を見る

ずいぶん前になるが、『たぶん悪魔が』という古いフランスの映画を見た。1970年代あたりのフランスで、あるエリート男子学生が自殺に至るまでの顛末を描いたものだった。明快な筋書きがあるわけではなく、いくつもシーンを並べることで何かを象徴的に浮かび…

「憂国」という演技

先日、ある読書会で三島由紀夫の短編『憂国』を扱った回を担当した。そこで三島について少々調べたので、そこで考えたことを書いていく。 『憂国』のあらすじは、その冒頭部分を読めばおおよそ把握できる。 昭和十一年二月二十八日(すなわち二・二六事件突発…

吸ひこまれない

本当は解題が必要なタイトルなんてそもそもつけてはいけないのだけれど。 このブログの「吸ひ込まれない」という題は次の短歌に由来する。 沈黙の山へ続ける白き道ある私度僧の吸ひ込まれけり 私が高校生のときに出場した短歌の大会で作った歌だ。本来は大会…